開校式・オリエンテーション
「第五回塔ノ岳オータムトレッキング」には、前回六月開催のリベンジャーも含めた二十三人の参加者が秦野駅からバスに乗り込みヤビツ峠へ集まった。
この日は少し晴れ間ものぞくまずまずの天気。加えて、トレッキングのハイシーズンとなり、チャレンジスクールの他にもたくさんのトレッカーが続々と集結していた。
そんな中、チャレンジスクールの参加者は登山口に集まり、開校式の挨拶の後、片山校長と林教頭から体温調節や途中にある鎖場などの危険個所、ハンガーノックにならないための行動食での補給について等、トレッキングにおける注意点を真剣な表情で聞いていた。
ヤビツ峠から大倉バス停までの全行程は、休憩を含みつつも約八時間という長丁場。高低差もあるこのコースでは休憩をしっかり取ることが大切。そのためにも、時間を無駄にしないようテキパキと班に分かれたところで、いざ、出発!!
富士見山荘~二ノ塔~三ノ塔
富士見山荘から三ノ塔までは、約1.5kmの間に700m程度の標高差を一気に登るルート。
こまめに休憩をしながら、体温調整をしたり、水分補給をするなどして、集中力や体力が安定するよう心がけながら一歩また一歩と歩みを進める参加者。
大人・子どもも、男性も女性もみんなで一丸となって登り基調のアップダウンのコースに“挑戦”となった。
林道を抜けた後、二ノ塔山頂からは眺望が開け、先にある三ノ塔や遠くの秦野市街を見ながら進んだ。
三ノ塔~烏尾山~行者ヶ岳~新大日~塔ノ岳
前回開催では、雨天の為、表尾根でも有数の眺望が望める三ノ塔からの景色を見ることが出来ず、エスケープルートを使って下山となった。今回は、やや雲が出て眺望を満喫するには至らなかったものの、山頂を目指して三ノ塔から、さらにその先へ向かった。
三ノ塔からは、登りと下りが続く。さらに、行者ヶ岳の辺りにある難易度があがる、「鎖場」となる。そこでは、男性が率先して鎖を持ちやすい位置で固定し女性に使いやすいようにとの気配りが見られるシーンもあった。また、参加者同士が、それぞれ持ってきた御菓子をお互いに配り合うなどの微笑ましい光景も印象的だった。
途中、山の天気は気まぐれで、少し雨が降りだすこともあったが、参加者からは、「どこまで雨具を着たらいいか?」などといった質問が積極的に出てくるなど、インストラクターの経験値に対して、非常に素直で敬意と信頼を持って接する様子が見られた。
長丁場で疲労も蓄積していく中にあって、途中で記念写真を撮るなどして、本当に楽しむ環境を一人ひとりが創出していた。
そして、ついに塔ノ岳山頂へ到達!!!
今回がリベンジとなった参加者にとっては、前回の六月開催から数えると約四カ月にわたり目指していた頂に到達したこととなる。
塔ノ岳~花立山荘~見晴茶屋~大倉バス停
ピークを過ぎると残りは、6km以上のコースを下るのみ。
しかし、登りで体力を使った参加者にとって、下りは自身の体重を支えながらの歩みとなるため、思いのほか大変な行程となった。
子どもたちもさすがに疲れた様子を見せるかと思っていたが、なんのその。
大人グループよりも三十分以上早くに見晴茶屋へ到着!!
とは言え、全体のスケジュールが押していたこともあり、その頃には辺りは薄暗くなり始め、下界の街には明かりが灯り始めていた。
後から到着した大人班も、険しい行程を歩き続けたことに加え、思いがけない夜景を目にして、ほんの一瞬気持ちが緩み安堵の表情を浮かべていた。
また、見晴茶屋には、片山校長の知り合いが暖かい飲み物とおやつを準備をしながら待ってくれていた。
到着した参加者は、見晴茶屋でのひと時の憩いで最終ゴール地点となる大倉バス停へと向かう鋭気を養った。
見晴茶屋からは、ベッドライトを灯しながら、浮石などに注意しながら慎重に大倉バス停を目指す。
最終的にたどり着いたバス停では、互いの健闘をねぎらい解散となった。
参加者の表情はとても満ち足りたものとなっていたと感じられた。